わたしたちは今日も拍手しかできない
今日、わたしが5年以上追いかけてきた舞台のシリーズが一度、幕を閉じる。
それは3月の前作千秋楽公演で発表され、それから毎日、刻一刻と、最後の日が近づいていた。割愛するけど運営とか、色んなことに疑問に思う日々で、東京公演と大阪公演のチケットを取り終えて一般発売も開始された数日後に凱旋公演が決まって絶望したり(大千秋楽を取り直すのは本当にしんどかった)、今までその作品に対して一度も思ったことなかった「もし、面白くなかったらどうしよう」が頭の中をぐるぐるしていた。5年間でできたたくさんのフォロワーと会う度に「面白いといいね」と話していた。
シリーズ最終作は、最高に面白かった。
そもそも私たちはこの作品の前シリーズが終わった時に、「実はあの作品でシリーズ一区切りでした」とあとから伝えられたのだ。だからこうして「シリーズラストの作品」だとわかって見る舞台は、今回が初めてだった。2015年5月からタッグを組んでずうっと紡いできてくれた脚本家と演出家のふたりが、我々に提示してくれた物語は、演者が真摯に作品に向き合って、唯一無二のキャラクターを演じてくれた舞台は、これ以上になく幸せで、苦しくて、あったかい、愛のお話だった。
どれだけ楽しくても、今日が昨日より最高でも、わたしたち観客は拍手しかできない。2時間半じいっと客席に座って、日替わりギャグに笑って、迫真のシーンで息を呑む。どれだけ素晴らしいいか、どれだけこの作品に人生を変えられたか、どれだけこの作品が生きがいになっているか、ぜんぶぜんぶ、カーテンコールの拍手にのせて届けることしかできない。
わたしはこの作品のファンも好きだ。
ぜんぶ拍手の圧で届けようとする、ひとつの生きもののような意志を感じる。それを汲んで、「みなさんもカンパニーの一員です!カンパニーの一員って言っていいです」「みなさんも(カンパニーである)自覚を持ってください」と1000人を前にして言ってくれる座長も、それを笑いながらみてくれるキャストも、スタッフさんも、みんなみんな大好きだ。
シリーズが終わって、あと10時間後にはもしかしたらなにか発表があるかもしれない。ないかもしれないし、わたしは今は余韻に浸りたいから、どちらかといえばない方がうれしい。でも誰にもわからない、わたしたちはマチネとソワレに、ただ座って、見届けることしかできない。
でも、わたしたちは今日も客席に座る。
1/1200のちっぽけな「ひとり」でも、我々がいないと舞台は成立しない。ゲネプロで客席に我々がいないといつも物足りないのだと、そう言ってくれた素晴らしい役者さんがいた。我々だって、この素晴らしい舞台の一部なのだ。
そう思うと、すこし誇らしく感じる。
もうこれを書きながらべしょべしょに泣いているけど、わたしたちは、真剣にこの作品と向き合って、ちゃんとシリーズの終わりを、できれば笑顔で見届けよう。わたしたちは今日も拍手しかできないけれど、たくさんの愛をくれてありがとうと、手が痛くなるまで拍手をするのだ。
改めて、メサイア-黎明乃刻-大千秋楽おめでとうございます!
▽大千秋楽は配信もあります
https://sp.live.nicovideo.jp/watch/lv321598786